東京医科歯科大学の高橋英彦先生よる「脳画像から見た統合失調症に対するスポーツの効果」では、運動の実行と認知のシステムに注目し、運動と脳機能・精神症状との関係をfMRIを中心に長年にわたって研究してこられた膨大なデータが示されました。実際、運動療法を行うと側頭葉の体積が増えたり、有酸素運動をすると海馬の体積が増え、記憶力も上がり、バスケットを週3回3か月間行うと、体重が減少して精神症状も改善し、顔の認知や表情、視線、運動に関する情報を統合するSTS(上側頭溝;superior temporal sulcus)領域や身体の視覚情報に特異的に反応するEBA(有線外皮質身体領域;extrastriate body area)の脳活動が上昇していることが確認されました。当院でも運動など生活習慣指導を行い、精神症状も改善される方をよく経験しますが、脳ではこのような変化が起こっていると知り、大変興味深く拝聴しました。
このたびJapanese Journal of International Nursing Care Researchという医学雑誌に院長が共著の論文が掲載されました。広島大学保健学科の梶原先生(現日本赤十字九州国際看護大学看護学部准教授)が長年認知症の介護負担について研究されており、前回の予備調査を行った結果を受けて、このたびは多施設での26名の認知症介護者を調査した結果を発表されました。当院にてご協力いただいた患者様とご家族の皆様には心より感謝申し上げます。ウェアラブルと呼ばれる腕時計のようなものを3日間介護者に着けて頂き、睡眠や運動、脈拍などのバイタルサインから介護の負担を客観的に評価したところ、介護負担と最大脈拍数に有意な相関を認め、介護負担が大きい方ほど介護前後の最大脈拍数の差が大きかったとの結果でした。介護者の負担や健康状態を支援するために活用できる指標になるのではないかとのことでした。認知症でお悩みの方やそのご家族の皆様にも参考にして頂けるのではないかと思い、紹介させて頂きました。詳しくは院長、スタッフへお尋ねください。