このたび INNOVATIONS IN CLINICAL NEUROSCIENCEという医学雑誌に院長が共著の論文が掲載されました。京都大学が中心となって行っていたFLATT(フラット;薬剤治療抵抗性大うつ病に対するスマートフォン認知行動療法と抗うつ剤併用療法の無作為割り付け比較試験)に参加しておりましたが、その解析結果を報告したものです。標準的な抗うつ剤による薬物療法にスマートフォンによる認知行動療法を併用すると、抗うつ剤で改善しきれなかった患者さんの4割で改善が見られ、抑うつ症状のスコアの50%改善率が2倍になったという内容です。読売新聞でも紹介されましたので、掲載記事もご覧ください。ご協力頂きました皆様には心より感謝申し上げます。うつ病でお悩みの方やそのご家族の皆様にも参考にして頂けるのではないかと思います。ご興味のある方は、遠慮なく院長、スタッフへお尋ねください。業績についてのページからも原著論文がダウンロードできますので是非ご覧ください。
引き続き山下潤先生による「健康保持増進」の1時間の講義では、昭和54年に制定されたSHP(Sliver Health Plan;中高年労働者の健康づくり運動)、昭和63年に制定されたTHP(Total Health Promotion Plan;すべての年齢の労働者を対象とした心と体の健康づくり)、平成14年に制定された健康増進法などの説明でした。特に平成30年の健康増進法の一部を改正する法律により、受動喫煙対策に取り組むことが事業者の義務とされ、また喫煙室はコロナ感染のハイリスク環境であり、一度に利用できる人数を制限したり、喫煙室を閉鎖することが望ましいとのことでした。
2020年度厚生労働省研修事業“心的外傷後ストレス障害(PTSD)に対する認知処理療法研修 1日研修”に参加致しました。認知行動療法(CBT)の基盤研修及びうつ病に係る認知行動療法研修を修了し、かつPTSDの治療経験のある医療従事者が対象で、PTSDに特化した認知処理療法(CPT)を習得するためのプログラムでした。CPTとはPTSDに対するエビデンスに基づく短期治療であり、3か月間で12回、1回1時間程度行う認知行動療法の一種で、主に行動よりトラウマに対する認知へ介入し、「公正世界の信念」に対する「同化」(自分が間違っていた)や「過剰調整」(信念が間違っていた)により処理しきれていない「スタックポイント」を見つけ、共感しながら回避させずに安全、信頼、力統制、尊厳、親密さなどのポイントにおいて、ソクラテス式問答などCBTのテクニックを駆使しながら「ほどよい調整」ができるよう現実的な考え方へ修正していきます。またCPTでは毎回、自記式のPTSD症状評価尺度であるPCL-5(PTSD checklist for DSM-5)を行うことが重要であり、6回以上連続して改善が見られなければCPTを中止することも必要です。Webでの参加ではありましたが、ロールプレイやセッションを疑似体験することにより対面と遜色ない技術を習得できたと思います。終了時にはぐったり疲れましたが、新しいことを吸収し治療に役立てられると思うと参加してよかったと思いました。明日からの診療で患者さんへ還元していければと思っています。
当院もいつも連携させて頂いているRodinaリワークセンターをご案内します。リワークとは、Return to workの略語(Re-work)で、メンタル不調により、これから就労を目指す方や休職中の方に対して、職場・社会復帰に向けたリハビリを行います。休職や離職に至った自分自身の働き方や考え方を振り返り、その対策や、復職・就職に向けた生活面や職場環境の改善、通勤訓練などをサポートします。その他、集団認知行動療法、コミュニケーショントレーニング、復職ミーティングなど資格を有する専門スタッフが一人一人の不安に寄り添いながら、2人3脚の支援を行っています。当院からも多数紹介させて頂き、無事復帰できたと大変喜んで頂いています。このたび6月1日~7月31日Rodinaリワークセンター広島駅前にて復職・再就職無料個別相談会が行われます。ご希望の方は☎082-569-9444へお電話されるか、info@rodina.co.jpへメールでご相談ください。広島には主に8カ所のリワーク施設があり、リワーク支援機関ガイドマップHiroshimaモデルにもまとめてありますので、それぞれの特徴や通いやすさなどで検討されるとよいと思います。地域の皆様が元気に過ごせるよう、これからも応援していきたいと思っています。