このたび JOURNAL OF MEDICAL INTERNET RESEARCHという医学雑誌に院長が筆頭著者の論文が掲載されました。京都大学が中心となって行っていた FLATT(フラット;薬剤治療抵抗性大うつ病に対するスマートフォン認知行動療法と抗うつ剤併用療法の無作為割り付け比較試験)に参加しておりましたが、その解析結果を報告したものです。標準的な抗うつ剤による薬物療法にスマートフォンによる認知行動療法を併用すると、抗うつ剤で改善しきれなかった患者さんの4割で改善が見られ、抑うつ症状のスコアの50%改善率が2倍になったという内容です。読売新聞でも紹介されましたので、掲載記事もご覧ください。ご協力頂きました皆様には心より感謝申し上げます。うつ病でお悩みの方やそのご家族の皆様にも参考にして頂けるのではないかと思います。ご興味のある方は、遠慮なく院長、スタッフへお尋ねください。業績についてのページからも原著論文がダウンロードできますので是非ご覧ください。
hhc共同化フォーラム -Living Well with dementia- 認知症とともによりよく生きるへ参加してまいりました。東京慈恵会医科大学の繁田雅弘教授より「アルツハイマー病:思いを汲むことから聴くことへ」のご講演では、医療従事者、家族、本人も含めて認知症に対する先入観・偏見をなくし、本人の役割、生きがい、幸福感を達成させることが重要で、患者さんが認知症という病気と出会い自覚することが大事であるとのお話でした。後半は認知症当事者が登壇してくださり、インタビュー形式で患者さんの生の声を聞いてディスカッションしていく企画でした。勇気をもって参加してくださった患者さん達へ敬意を表したいと思います。日頃の診療では患者さんのお話を聞いてお互い納得して治療を進めているつもりでいましたが、登壇された患者さん達のお話では、意外といいたいことが言えず、ストレスを感じておられるようでした。お一人お一人のお気持ちを大切に診療していこうとあらためて思うことができました。
佐伯区医師会に所属する医師が中心となって構成している佐伯クリニシャンズグループでは、定期的に著名な先生方による講演が企画され、メンバー同士で切磋琢磨しています。今月は在宅認知症講演会として「認知症をもう少し詳しく知りましょう」と題して、向洋駅前心療クリニックの西山聡先生よる講演があり、拝聴してまいりました。院長と同じく、西山先生も日本老年精神医学会専門医・指導医資格もお持ちで、"You are dementia"ではなく、"You have dementia"との姿勢でご開業後も認知症の方々の診療にも力を入れておられます。認知症診断には記憶障害より見当識障害のほうが重要であること、抗認知症薬を処方する前に、引きこもりを減らし外出の配慮をするなどして昼夜リズムを付けてもらうことが重要であること、基本的にベンゾジアゼピン系安定剤を使わないこと、などのお話盛りだくさんでした。その他、認知症とうつ病の鑑別には自律神経症状を見逃さないことなど、臨床家ならではの知識も大変参考になりました。認知症だけでなく、心療内科領域で幅広い知識と経験をお持ちのとてもやさしい先生ですので、向洋方面の方で心療内科受診をお考えの方は、是非受診してみてください。